企業の代表的な経営資源は、人・物・金であると言われています。
人材マネジメントとは、組織の目標を達成するために、企業の仕組みを用いて人や組織を動かす方法です。
ただ、どのように人材のマネジメントをしていけばいいのかとなると、『掴みどころがない』、『何を拠り所に考えればいいんだろうか』などと感じる方も多くいるでしょう。
リーダシップに興味がある人は多くいらっしゃると思いますが、人事・制度などの人材マネジメントに興味がある人はあまり多くないのではないでしょうか?しかし、リーダシップで影響を及ぼせる対象範囲は多くても300人ぐらいなのに対して、人事制度を適切に作れば、数万人にも影響を起こすことができます。
人材マネジメントを学ぶことは、個人と企業の緊張関係の理解を助けるためでもあります。(自己実現や生活の維持などの欲求を満たすために、個人が企業を利用するという側面や、経営資源として、企業が人を利用するという側面)また、以下のような意義があります。
- 組織の目標に向けて、人を動かす企業の仕組みを設計する際に役立ちます。
- 仕組みの設計に直接関わる一握りの人以外にとって、仕組みの持つ戦略的な意図を正しく理解することに役立ちます。
- 全ての人にとって、自分のキャリアに対する理解を深めることにもつながります。
このように人材マネジメントを学ぶことは、組織で働くすべての人にとって、意義のあることなのです。
経営資源としての人の特徴
今後の企業経営の鍵を握るのは人のマネジメントだと言われることはしばしばあります。人と人の集合体である組織のマネジメントを考えるにあたっては、まずは、経営資源としての人の特徴を念頭に置いていくことが必要です。
- 人は意思や感情、欲求を持つ。
- 人の持つ能力の発揮度合いは、活用の仕方次第で、向上したり、低下したりする。
- 人という経営資源の生産力は、教育や仕事を通して成長すると共に向上する。
人のマネジメントが重要な背景
金や物とは異なる難しさ・醍醐味を持つ人という経営資源。人やその集合体である組織を適切にマネジメントすることの重要性は今日より一層高まってます。
- 環境変化に対応するには、個々の人が変化に応じた能力を発揮することが求められている。
- 企業の競争優位の源泉は、設備や資金などから、知識や知恵を生み出す人にシフトしつつある。

人・組織のマネジメントの具体的な方法
組織の目標を達成するために、人や組織を動かすためのアプローチは大きく二つに分けられます。
今回取り上げる対象は、下記の内の人材マネジメントについてです。
- 人材マネジメント
企業の仕組みを用いて人を動かすこと。- 人事システム
- 組織構造
- 組織文化
- 組織行動学
個人の取り組みで人を動かすこと- リーダーシップ
- 人間の思考特性
- 集団行動特性

人材マネジメントを構成する大きな三つの要素
- 人事システム
人事戦略に基づいて、人材をどのように活用・管理していくかを決めたもの。
具体的には、人員配置、報酬、評価、能力開発といったシステムから構成されます。 - 組織構造
人事戦略に基づいて、人材をどのように組み合わせて戦略を遂行させるか定めたもの - 組織文化
組織の構成員が共有する信念価値観行動規範の集合体
人材マネジメントの全体像
人材マネジメントを決める核となるものが人事戦略です。
人事戦略は、企業の経営理念をもとに戦略を遂行し、ビジョンを実現していくために、『組織と人がどうあるべきか』を示すものです。
そして、人材マネジメントを構成する『人事システム』『組織構造』『組織文化』は、人事戦略とそれぞれ整合性が取れている必要があります。
人事戦略は、企業の『経営理念・ビジョン』『経営戦略』に基づいて構築されます。人事戦略もまた、企業内の他の要素と整合性が取れている必要があります。
人材マネジメントに影響を与えるのは、企業の内部要因だけではなく、その企業を取り巻く外部要因も影響を与えます。
企業経営を取り巻く事業環境やマクロ環境は、企業が競争に勝つためのカギを握っています。
競争に勝つカギが変化すれば、経営戦略の見直しを通じて、人事戦略も変更が必要になり、戦略目標を実現するために必要な人材マネジメントの在り方も変わっていきます。そのため、外部環境を理解することは、経営戦略との整合性を計る意味で、極めて重要です。
- 労働市場
労働市場の構成変化(女性、高齢化、外国人)など - 法的規制
事業や雇用にかかわる法律や条例、判例など - 経済状況
景気動向や金利・為替などの経済状況など - 技術的進歩
リモートでの執務を可能にするIT技術の進歩など - 競合他社
競合他社の従業員の能力レベルの向上など
人材マネジメントは、組織全体の戦略との整合性を必要とします。また、外部環境要因は人材マネジメントの在り方に影響を与えます。
人材マネジメントの続き

