成果を上げるチームはどうやったら作れるでしょうか。
今回のテーマはチームです。集団とはある特定の目的を達成するために形成された複数の個人の集まりであると下記の記事で定義をご紹介しましたが、チームも集団の一形態です。
集団をどうマネジメントするかという課題ですが、まず集団とは、どのように定義されるのでしょうか?集団とは、ある特定の目的を達成するために形成された複数の個人の集まりのことです。したがって、組織目標のもとに集まっている企業は、大きな集団と言[…]
チームは集団の一形態ですが、チームならではの特徴として、構成員は個人責任と相互責任を担っており、活動は個人の責任範囲にとどまらないという点があります。
集団の一形態であるチームチームの特徴について、改めて確認していきましょう。
集団とチーム
集団 | チーム | |
特徴 | ある特定の目的を達成するために形成された複数の個人の集まり | 集団の一形態であるが、プラスアルファの成果がある |
責任範囲 | 個人の責任範囲内で業務を遂行する | 個人責任と相互責任を担っており、活動は個人の責任範囲にとどまらない |
成果 | 各構成員の業務達成能力の総和以上にはならない | 各構成員の業務達成能力の総和よりも大きくなる |
集団とは、ある特定の目的を達成するために形成された複数の個人の集まりのことです。通常、個人の責任範囲内で業務を遂行し、成果も構成員の業績達成能力を足し合わせた大きさ以上にはなりません。
一方チームは、集団の一形態ではありますが、個人の責任と相互責任の両方を担っており、活動も個人の責任範囲にはとどまらず、その成果も構成員の業績達成能力を足し合わせたものよりも大きくなります。
つまり、このプラスアルファの成果が発揮されることが、集団とチームの一番の違いなのです。
個々人の業績達成能力を足し合わせたものよりも大きな成果を生むことができるチーム。それでは、このチームならではのプラスアルファの成果でこれを引き出し高い成果を上げるチームを作るためには、どうしたらいいでしょうか。
高い成果を上げるチームを作るには
高い成果を上げるチームを作るには、構成員の組み合わせと凝集性の二つが重要です。
まず、構成員の組み合わせが重要です。チームのメンバーが全て似通ったスキルを有している場合、チームの業績は個人の業務遂行能力の総和を大きく超えることは難しいと言えます。
しかし、異なるスキルを持ったメンバーが集まり、『専門知識』『問題解決や意思決定のスキル』『対人関係上のスキル』という重要なスキルを相互に補完しあうことができれば、チームとしてより大きな成果を生み出すことにつながります。
次にチームの凝集性が高いことが大切です。チームの凝集性の高さとは、構成員が『共通の目標や価値観を持っている』『自分の利益よりチームの利益を優先する』といったことです。
こうした場合、チーム目標の達成に向けて、構成員が一丸となって取り組むことから、高い成果につながります。
以上のとおり、高い成果を上げるチームを作るには、構成員の組み合わせとチームの凝集性が重要です。
構成員の全員が必要なスキルを全て持ち、発揮している人たちじゃなくても構いません。お互いが自分の長所で、相手の短所を補い、自分の潜在能力を開発できるよう相手から学べば良いのです。
またチームの凝集性を高めるために、リーダーはチームの目的を明確にし、常に確認し続ける必要があります。これにより、目的に賛同する人を引き付けたり、その逆に賛同しない人をチームに長く留まらせないという効果も期待できるのです。
集団の発展プロセス
集団がどのようにして形成・発展していくかというプロセスを理解しておくことも、効果的にチームをマネジメントするために役立ちます。
アメリカの心理学者ブルース・タックマンが提唱したモデルによれば、集団の発展は五つの段階に分けて捉えることができます。
まず最初は形成期です。形成期は集団を結成することが明らかにされ、構成員が顔合わせする段階です。この段階では、集団の目的や規模もまだ共有されていません。
激動期に入ると、集団の内部には議論、緊張、衝突が生まれ始めます。構成員の間でコミュニケーションを図ることにより、集団の中でのそれぞれの役割や地位についてのイメージを形作っていく時期にあたります。
規範形成期は、構成員が規範を作り出す段階です。一つ前の激動期における議論や衝突を経て、集団の目標や各自の役割が明確になり、それらを全構成員が理解し共有します。
実現期は、特定の目的を持った集団として機能する段階です。ただし、マネジメント次第では、実現期に至らないまま解散してしまうこともあります。
終了期は、集団が解散していく段階です。集団の目的が達成されるなどの理由により退散する段階のことです。
集団をうまく発展させ、維持していくためには、その集団が現在位置づけられている段階に応じたマネジメントが必要です。
例えば、チームが置かれている段階が激動期であれば、緊張や衝突が起きることは必然と言えます。激動期から規範形成期に移行するためには、リーダーシップを発揮してチームの行動規範やルールの明文化などを行うことが求められます。
チームマネジメントのまとめ
チームは集団の一形態ですが、チームの特徴として責任が個人に閉じていないという点があります。
それゆえにチームが得られる成果は各構成員が個別にあげる成果の総和よりも大きくなります。
そしてチームを含む集団の発展には、『形成期』『激動期』『規範形成期』『実現期』『終了期』の五つの段階があります。発展段階とその特徴を理解して、その時々の集団の状態に適したマネジメントを行う必要があります。
また、高い成果を上げるチームを作るには、構成員の組み合わせと凝集性が重要です。それを満たすためには様々なスキルを持つ人材を組み合わせて相互補完したり、チームとして足りないスキルを補うために能力開発を行うことや、チームの目的を明確にし、常に確認し続けることが大切です。